1 #とある女子高生 

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 その(とき)、ピースタの『WWW(ダブリューダブリューダブリュ-)』という(きょく)のサビが、スマホから(なが)れてきた。 ビクッと、(かた)がはねる。  この(きょく)は、電話(でんわ)通知(つうち)(おと)設定(せってい)しているから、きっと学校(がっこう)から「(もど)ってこい」という電話(でんわ)がかかってきているのだろう。  ()たくないな。  大好(だいす)きなはずの(きょく)も、(いま)はうるさく()こえる。(おと)()()まないスマホを、カバンの(おく)()()んだ。  さて、これから(なに)しよう。  なら自由(じゆう)だ。  ふと、もう1度(いちど)スマホを()()()になった。  (いま)(おも)()したのだが、空知(そらち)くんのTwitter(ツイッター)のサヴアカウントには、DM(ディーエム)(おく)れるようになっているのだ。()んでくれるとは(かぎ)らないけど、()しに()かって気持(きも)ちを()()すのもありかもしれない。  Twitterを開き、空知くんのサヴアカウントのページまでとぶ。  『DM』と書かれているアイコンをタップすると、メッセージが送れるページになった。 『ハルチ︰』  あ、ハルチっていうのは、私のTwitter名ね。空知くんリスナーだからハルチ。 『ハルチ︰初DM失礼します。ずっと前から推してます。特に、『カヲス』の歌ってみたが好きで・・・』  おっとぉ。危ない危ない。  本人相手にオタクマシンガントークをしそうになったよ。 『ハルチ︰初DM失礼します。ずっと前から推してます。 今回は、ちょっとだけ愚痴らせてください。・・・・・・・・・・・・』  自分の事を全て書き終えて、震える指で送信アイコンをタップしようとする。  き、緊張する・・・。  それでもやっぱり送りたい、という気持ちが勝って、送信アイコンをタップした。  えいっ、と送ってしまえば後は同じ。見てくれるなんて分からないんだから、ドキドキする意味もないよね。・・・・・・って思うでしょ?  それでも緊張するのがリスナー。「送っちゃった!送っちゃった!」ってなる。  動画や生放送と違って、「リスナーのみんな」ではなく、「私」を見てくれるものだから、緊張より先に嬉しいがきてしまうんだよね。  パチッとスマホの電源を切って、もう一度スマホをカバンの奥に突っ込んだ。 ※次回4月30日公開予定
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