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少し迷ったけど、アフターの約束のお客さんに電話をして、
急に体調が悪くなったと、断りの電話を入れた。
その電話で、その人はとても不機嫌で。
多分、もうこの人はこの店に来ないだろうな、と思った。
もし、またこの店に来ても、私を二度と指名しない。
店のあるビルを出ると、すぐの所に黒塗りのベンツが停まっていた。
そのベンツの中に永倉さんが居て、
私を見て、乗れと言うように、顎をしゃくる。
「お疲れ様です…」
車に乗り込み、伺うようにこの人を見る。
「お前でいいから、ヤらせろ」
凄く、直球だな、と思う。
この人の誘いが、そのつもりなのだとは分かって来たけど。
それにしても、アヤノさんに断られて、スッゴク不機嫌なのが、この人から伝わって来る。
「腹減ってるか?
何か食いに行ってからでも構わねぇけど」
そう訊かれ、少しは私を気遣ってくれているのか、と意外に思う。
「お腹は空いてないです。
直接、ホテルでいいですよ?
なんなら、このまま車の中で始めてもいいですよ」
そう笑い、永倉さんを見ると。
少し、面食らったようで。
「じゃあ、適当なホテルに行くか」
そう、少し口角を上げて笑っている。
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