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「まさか、こんなに沢山うさぎを飼われているなんて思いませんでした」
一匹だと、思っていた。
まさか、こんなにもうさぎマニアだとは。
「まあ、飼い始めたら、あの子もこの子もって。
でも、もうこれ以上は飼わないけどね」
「なんでですか?」
いや。別になんででもいいのだけど、訊いてしまった。
「ほら?別れが辛いから。
一子が、わりと若くに亡くなったのだけど。
そうやって早く死なせた後悔なのもあるかもしれないけど、
本当に数日眠れなくて食べれないくらい俺落ち込んで。
だから、うさぎの数だけ別れがあるのだと思うと…。
この子達、もうみんな8歳を超えててね。
二美なんて来月9歳で。
みんな、もう別れが近付いているのかな」
そういえば、施設に居たうさぎも、長生きの子で8歳とかで。
施設の先生が、うさぎは長くても10年くらいしか生きないと言っていたな。
「私達にしたらたったの8年でも、この子達にしたら、もう何十年も生きたような感覚なのかもしれませんよね」
ドワーフホトだという、白くて目の周りが黒い子は、
少し目を開けながら、眠そうにこちらを見ている。
毛艶良く見た目は若くても、この子達みんな、長い年月生きて来たような貫禄がある。
「そっか。
じゃあ、もうこの子達疲れちゃってるかな」
生きる事は、少しずつ命を削られて行っている事だもんな。
「それにしても、みんな女の子なんですね?」
名前もそうだけど、姉妹と言っていたので。
「うん。俺、女の子が好きだから」
その言葉と同時に、後ろから抱き締められた。
永倉さんもそうだったけど、
この人も背が高くて、包み込まれているみたい。
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