入れ替わり

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目が覚めると、体が重くて。 暫くして、ああ、そうか、と思い出す。 私は、一枝さんに抱かれて、此処に居るんだった。 柔らかく、大きなベッド。 裸のまま眠ったみたい。 一枝さんはもう起きているのか、居ない。 壁に掛けられた時計を見ると、14時過ぎ。 うわ、寝過ぎ、と、笑ってしまう。 私は床に落ちていた衣服を身に纏い、 一枝さんの姿を探しリビングへと行く。 「おはよう。 ちょうど、朝ご飯が出来て…いや、お昼ご飯でも遅いね」 そう、爽やかな笑顔を向けられた。 シャワーも済ませているのか、ただ着替えただけなのか、 部屋着のようなTシャツにスウェットのズボンを履いている。 「あの、一枝さん。 私達って、一夜限りですよね?」 ないとは思うけど、この人は私に特別な感情を持ってたりはしないよね? そう思ったのは、過去寝た、その場限りの男性達とは違い、とても優しいから。 中には、何度かその後も関係が続いてる人も居るけど。 「え、俺、紫織ちゃんと結婚するつもりなのに?」 「え?」 「俺の初めて奪っておいて、責任取ってくれないの?」 そう、笑っているから、私も釣られて笑う。 「とにかく、冷めないうちに。 座って」 手を、ダイニングテーブルに向けている。 「はい…」 私は、ダイニングテーブルの椅子に座ると、 リビング横の部屋に居る、うさぎ達に目を向けた。 食事中の子もいれば、水を飲んだり、ひっくり返って、寝ていたり。 なんか、癒されるな、と思う。 「うさぎって、寂しいと死んじゃうとかよく言うけど。 実際はうさぎって、凄く一人が好きだよね。 今はみんな、周りの子達を気にせず過ごしているけど、 一匹増える度、先住の子達、暫くはピリピリしてたから。 同時に複数匹部屋に出したら、すぐに喧嘩するし」 言われてみると、一匹ずつケージに入れられているのも、それでなのかな? 昔、施設に居たうさぎ達は、みんな同じ小屋に居たけど。
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