昔と違う

7/9

624人が本棚に入れています
本棚に追加
/129ページ
蒼君の住むマンションから逃げるように出て来たけど、 私は逃げられない。 父親が、殺人犯だという現実から。 私が中学一年生になってすぐの頃、父親が人を殺した。 その、父親が殺人に至った動機は、 自分を裏切り不倫をしていた妻である私の母親を、殺したい程憎んだ事。 母親を包丁で刺し殺し、そのままその時一緒に居た母親の不倫相手の男性をも殺した。 そこまでならば、まだ良かったのかもしれない。 その殺人現場となったのは、真っ昼間のラブホテル街で、 父親は、その中の一つのラブホテルから出て来た母親と、その隣に居た不倫相手の男性を持っていた包丁で刺し殺した。 以前から、母親とその男が不倫していたのを、父親は、気付いていたらしい。 私も後から知ったが、その母親の不倫相手は母親の職場の同僚で、相手も既婚者だったらしい。 父親が母親を刺し殺し、次に、その不倫相手の男性の上に馬乗りになり、何度も包丁を振り下ろしている時。 それを止めようとした、関係のないサラリーマンの若い男性を、父親は刺し殺した。 父親が特に非難されたのは、 関係のない善意の第三者をそうやって殺害した事。 誰かが通報して、現場に警察が駆け付けた時には、そこは血の海で。 父親に刺された三人の人間が、既に息絶えていた。
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

624人が本棚に入れています
本棚に追加