昔と違う

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逮捕された父親に下った判決は、死刑で。 まだその刑は執行されていないけど、 今も身柄はT県の拘置所に収容されている。 私は一度も、そんな父親の面会に行く事もなく、 裁判だって見に行く事もなかった。 だから、父親に最後に会ったのは、 その事件が起こる、朝。 いつものように、父親は私よりも早く家を出て行って。 その朝、私は父親と何か言葉を交わしたかな? 覚えて、なくて。 それくらい、あの日も、いつもと変わらない、日常だった。 父親がそうやって、世間を騒がせるような殺人事件を起こして、 親戚は誰も私を引き取ろうとはしてくれなかった。 父方の祖父母は鬼籍だけど、 母方の祖父母は、そんな殺人犯の父親の血を引いてる私を、怖がっていた。 他の親戚は、これ以上関わりたくない、と言った感じで。 私は兄弟も居ない一人っ子で、そんな形で私の前から両親は居なくなり、 沢山居た友達だって、その事件のせいで私から離れて行った。 本当に、私はこの世の中でひとりぼっちになった。 そうして、役所の人に連れて来られた児童養護施設で、蒼君と出会った。
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