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消えた彼
私が中学一年生の頃。
とある理由で、私は児童養護施設に預けられた。
それは、俗にいう孤児院で、親が居ない子が住む場所なのだとそれまでは思っていたけど、
実際は、親と色々な理由で一緒に住めないから此処に居る子が大半だった。
そして、私はその施設で、自分よりも3歳年上の武田蒼(たけだあおい)という名の男の子と、とても仲良くなった。
その蒼君は、私や他の子達とは違って、
両親を亡くしているのが理由で、
私がこの施設に来るよりも何年も前から、此処に居るらしい。
そんな蒼君は、高校卒業後、就職し、その施設のある県から遠い場所に行く事になった。
「その会社、寮あるから」
蒼君は嬉しそうに私に話していた。
蒼君は、前々から高校卒業後は都会に行きたいと話していた。
単純に、都会への憧れなのだろうか?
そして、身寄りのない蒼君は、この施設を出たらもう自分一人の力で生きていかないといけない。
都会で普通に部屋を借りるより、
寮に入る方が、とても賢明なのかもしれない。
「なんでそんなにも遠くに行っちゃうの」
私の不満は、それ。
そんなに遠くに行ったら、会えないじゃない。
もうすぐ私は高校生になるけど、
蒼君の行く場所は、そんなにすぐに会える場所じゃない。
高校生になったらバイトをするつもりだけど、
その場所への新幹線代だって凄い高いし。
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