-大橋と海の見える街で出会うバーチャルシンガ-

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・ ・ ・ 大学を卒業し、私が内定をもらった会社に入ったのは良いものの、驚く事にとんでもないほどの所謂ブラック企業で 罵詈雑言の嵐はもちろんの事、始発出勤・終電退勤は当たり前で、休みの日はひたすら体力の回復に努める為、外出するなんてもってのほかだった。 そこで働いている間は(これが社会)と言うものなのかと、自分で言い聞かせていたし、周りの人達も それが当たり前になっていたものの、ある日の事だった。 私に罵声を浴びせていた人物の発言に矛盾が生じていた事が切っ掛けとなった。 「悪い、会話の詳細は本当に覚えていないんだけど、内容としてはさっきAと言ったのをBと言った、みたいなそんな事だったと思う」 働きだしてから、六か月が経過したある日の事だった。 私はそれから、まるで洗脳が解けたように母や学生時代の友人と連絡を取るようになっていた。 周りの意見は言うまでもなく『そんな会社はおかしい』と教えてくれて、また法的手段を取って退社することとなった。 驚く事に、有給消化はもちろんのこと、これまでの理不尽とも言える勤務時間に発生した残業代全てが振り込まれた。 結局、引っ越しをしてここ垂水と言う場所で新たなスタートを切る事となった。 「ざっくりの経緯はこんなものか、あんまりおもしろい話じゃなくって悪いな」 瑠菜は首を横に振りながら、真っすぐな瞳で私の事を見つめていた [その状況から、配信活動とどう言った関係があるのですか?] 「そうだな……」 口の中が渇きを感じ始めたので私は、新品の抹茶ラテの蓋を開けて一口…二口、三口ほど含み喉を通過してから、話を続けることにする 「まぁチョコレート食べなよ、気楽に聞いてほしいからさ」 そういうと、まるで待てをとかれたペットの如く、白くか細い手で食器に乗った チョコレートビスケットを取って、そのまま口の中へと放り込み、咀嚼しながらもこっちに目を向けている
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