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 パーティーの当日、帝国の姫ら全員が一同に集まる会場に国内外の貴族や富豪の子息子弟が招待状を携えやって来た。  皆が綺羅びやかで上等な衣装に身を包み、どんな美姫をこの目で見られるのか期待で頬が緩んでいたのは仕方ない。  何しろ美女を昆虫採集の様に集める事で有名な帝国の皇帝の娘達だ。  中身はアレだが、皇帝自身も見惚れるような美丈夫である事は有名であったのである。  期待で興奮する男性たちの目の前に現れた姫君達は希少な美しい絹織物で作られた高価なドレスに身を包んだ類稀な美姫ばかりで全員が目を剥いた。  皆が皆、たおやかな笑みを顔に浮かべて会場に置かれた豪奢な長椅子に座り手まねきをしている。  総勢16人の美姫は圧巻で、招かれた大多数の男性達は誘われるようにフラフラと一人また一人と好みの女性の前に跪いたり、すぐ横に座ったりとまるで魂を抜かれたように動き出す。  その全体の様子を冷静に見ている男性も少人数居るようで、彼らは供された飲み物を手にしながらその様子をじっと観察している。  その中の一人、真っ赤な髪に鳶色の瞳の浅黒い肌の男は面白そうな輝きを放つ瞳でじっとその様子を伺っていたが一人の侍女に気がついた。  異国の衣装を身に着けベールで顔を隠したまま、全ての姫らの後ろへ移動しながら飲み物や軽食等を直接手渡して回っている。  そしてその手渡された物を姫たちは一切躊躇せず口に運びながら優雅に微笑んでいる。  毒味もせず渡してくる侍女の顔も確認せず、である。  よくよく見れば金の豊かな髪をキッチリと結い上げ、目の色は夏の海のような碧い色をしており立ち振舞いは洗練されて美しい。  ソファーに座る姫君達と比べても何の遜色ないその所作に、ああ、と気がついた。 「アレが噂の17番目か・・・」  男は一人呟いた。
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