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 翌朝。  皇帝と皇后を筆頭に側妃や兄弟姉妹、大臣達に見送られて姫君は花嫁の御輿に乗って出立した。  御輿を担ぐ兵士たちの周りを護衛の騎士たちが固め後ろに世話係として皇宮の侍女たちがぞろぞろと列をなし、最後尾には移動の間の為の様々な荷を積んだ荷車が続く。 「本当に、馬鹿馬鹿しい・・・」  誰にも聞こえないように扇を広げたその陰で、姫が小さい呟きをため息とともに吐き出したのは言うまでもない。  御輿は綺羅びやかな意匠を凝らした立派な物で、朝日を浴びて屋根の部分がキラキラと反射する。  日差しを遮るための白い紗のカーテンが備え付けられていて、疲れた時や眠くなった時は侍女に声をかけると閉めてくれるらしいのだが、座るだけで何もしないのは余計に疲れるものである。  最初は物珍しさも手伝い周りの景色も楽しむ余裕があったのだが。  如何せん後宮の中では勉強やマナーだけでは無く機織りや刺繍、畑や蚕の世話までこなす生活をしていたため退屈でたまらない。  それでも沿道沿いに花嫁行列を見ようと出てくる国民に手を振るのも努めと言い聞かされていた為、手も抜かずに頑張った。  傍らにあるリュートを爪弾いていいのかどうかも判断がつかず最初の目的地につく頃にはヘトヘトになってしまった。
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