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 姫の母親は帝国に踏み躙られ他国の属国になり、もう地図に名も乗っていない小国の生まれではあったが類まれな美貌と知己を有していた。  彼女は国一番のリュートの名手であった為、各国の王族が招かれた宴でその腕前を請われて出席をした。  その時に参加していた各国の王族達が挙って彼女の類まれな美貌と美しく奏でられたリュートの腕前を称賛する中、帝国の皇帝だけが彼女を略奪する方法を頭の中で練り上げていた。  そしてその悪辣な方法をその宴が終了した翌日に決行し、彼女を手中に収めて帝国へと連れ去ってしまう。  突然連れ去らえた娘を返せと帝国へ抗議をした小国はその直ぐ後に地図の上から姿を消してしまったのである。  その土地は帝国が属国にすると思いきや、その小国の隣の王国が属国として取り込んでしまった。  小国の土地と国民に関し、帝国は(とんび)に油揚げをさらわれたのである。  美しい姫君の生まれ育った小国。  小さな国ではあったが手先が器用で勤勉な国民達であった為、豊かな技術力でもって国は栄え、近隣諸国にとっては正に黄金を産む国であったのだ。  隣国は帝国が蹂躙したその土地をサッサと横取りをししたという大義名分を各国に向け間を置かず知らせを放った為に王国の一部として認識されてしまう。  これに異を唱える帝国と王国は互いにいがみ合い、この土地と人の利権をめぐり争いになってしまうのだが、それはさておき。  実は皇后も皇帝のやり様に腹を立てていた一人でもあった。  契約により婚姻は結んだが、長い后教育にも耐え、晴れて皇后に君臨した途端に夫が山のように後宮に美姫を集め始めたのである。  之には頭を痛めてしまった。  
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