0人が本棚に入れています
本棚に追加
誕生日まであと4日
「なぜモテない」
「またそれか」
「サッカー部入ったのに」
「すごい偏見だな。サッカー部に入った奴がモテるんじゃなくて、モテる奴がサッカー部に入るんだ。朝陽は入る場所を間違えたんだよ」
「そっちの方が偏見ひどくない?」
「まだ学生だし、恋愛にかまけるより友だちと遊んでる方が楽しいと思うけどな」
「うっわ、あたかも同情してるフリしてサラッと己の優位性を誇示するやつだ。でも俺たちは罠に気がつかないから『あ、そっか、俺このままでいいんだ』って現実と戦う闘争心を根こそぎ奪われて、その優位を確固たるものとし俺たちを上から嘲笑うやつだ」
「逞しい想像力だね」
「双子ってさ、双子だから人気も二分するはずじゃん。寧ろ『どっちも好き!』っていう欲張りなのも出てくるわけ。仲良しな双子なら相乗効果で人気も上がるわけ。双子人気は社会主義的であるべきなんだ。それなのに、俺たちはきっと細胞分裂の際に深月が俺の分の才能、容姿、その他諸々奪ったから、救いのない双子格差社会を創造してしまった……」
「それはありえないよ。俺ら二卵性だし」
「ともかく現実は二次元のように甘くないってことさ」
「なんか、流石にかわいそうに思えてきた」
「同情するな。余計に惨めになる」
「帰りスタバ奢ろうか」
「俺キャラメルマキアート」
「いや、やっぱ誕生日前だし取っとこ。金がもったいね」
「……別に奢って貰わなくていいから、小遣いくらい俺の方が高くないと人生割に合わねえ」
「よかったね、社会主義的じゃん」
最初のコメントを投稿しよう!