Bメロ【Bridge】

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Bメロ【Bridge】

一年があっという間過ぎ、二年生になった スタッフバイトに行くのは桜子さんに会えるからだったが、次第に面白くなってしまった。 やがて音響さんや照明さんとも仲良くなり、そっちからも声がかかるようになった。 それでも最優先は桜子さんと会えるバイトだ。 サークルでもスタッフ経験が生かされ、月一のライブは音響などを仕切るようになった。 たまに一曲だけゲストでブルースハープを披露することもあったが、殆ど裏方が多くなった。 ライブの後の打ち上げでも桜子さんと話せるようになっていた。 「ラプソディ・イン・ブルーっていよねえ、私ずっと好きだったんだ」 「ガーシュウィンは、俺も好きです」 「クラシックとジャズの組み合わせって、凄くセクシーだと思うの」 「俺もそう思います」 「友希くんはブルースのどんな所が好きなの?」 「そうですね……やっぱりセブンスの響きかなあ……」 「でしょう!!!やっぱそこなのよ!!」桜子さんは俺の手を握って熱くなっている。 先輩や周りは冷ややかな目で見ている、断りもなく女王様に近づき過ぎている、そんな圧力を感じた。 俺は慌てて手を引っ込めた。 ライブの打ち上げはやはり高揚感があって盛り上がってしまう。 隣の社会人のグループがチラチラ見ているのが気になった。 お開きになり外に出ると、さっきの社会人が絡んできた。 「学生さん達よ、うるさいんだよ少しは周りの事を考えな」吐き捨てるように言った。 先輩が「すみません、今後気をつけます」頭を下げた。 「へー……それだけかよ、そこの綺麗なお嬢さん、お詫びに付き合ってくれよ俺たちの二次会に」 桜子さんの腕を掴んだ。 俺は慌ててその手を引き離した。 「ほう……やるのかよ」俺を睨んだ。 「なめんじゃねえぞ」いきなり拳が俺の顔を目掛けて飛んできた。 酔っていた俺は交わすのが遅れ、頬に少し当った。 「痛え!でもこれで正当防衛が成り立つぜ」そう言って相手の腹部にパンチを入れた。 そいつは「うっ…」と息を漏らし倒れ込んだ。 周りが「喧嘩だ!喧嘩だ!」と騒ぎ出した。 「桜子さん、後の事は俺一人で大丈夫ですからみんなと先に帰ってください」 「でも……」 「大丈夫です、早く行ってください」 そこへ倒れた男が立ち上がった。 「何もなかったんだ、お前も帰ってくれよ、俺も警察沙汰は困るんでな」そう言った。 「すみません、これから気をつけます」桜子さんがお辞儀をすると。 「こっちも悪かったから、もういいよ」そう言って社会人グループは去った。 「友希くん大丈夫?」桜子さんが頬を触ってきた。 少し痛かったが「何とも無いです」そう言って笑った。 その事件以来、桜子さんの近くに居ても誰も睨む人はいなくなった。 ついに俺は桜子さんの横のポジションを確保したのだ。 そして当然会話が増えた。 「友希くん、明日お昼を高田馬場で食べようよ、紹介したい人がいるんだ」 「えっ、どんな人ですか?」 「サークルのOBの人だけど、イベントの運営会社をやってるの、私そこでバイトしてるんだ」 「そうなんだ、だからアルバイトスタッフのマネージメントができるんだ」 「そうよ、このサークルから1人は必ずその会社でバイトするのが伝統なの」 「そうなんですか」 「とても面白い人よ、しかも同じ九州の人だし」 「いいですよ」 「じゃあ明日12時にビッグボックスの前で」 「はい」 翌日ビッグボックスの前にいると、桜子さんが少し無精髭がある優しそうなOBらしき人と現れた。 「こんにちは友希くん、OBの小宮さんよ」 「小宮です、よろしくでーす」微笑んだ。 「一瀬友希です、よろしくお願いします」 「一瀬くん何が食べたい」小宮さんが聞いた。 「何でんよかです」 「うーん…………じゃあカレーかな」そう言ってさかえ通りのカレー屋さんへ行った。 「店へ入ると、全て小宮さんが注文してくれた」 しばらくすると、バターチキンカレーとナンが運ばれてきた」 「なんでんよかって言ったから、ナンにしたばい」小宮さんは笑った。 「えっ!!!俺は一瞬固まったがその後笑い転げた」 「九州弁ってなんかいいなあ……」桜子さんも笑っている。 すっかり打ち解けてカレーを食べた。 桜子さんはまるで小動物のように、少しづつ食べている。 「友希くんさあ、私の後をついで小宮さんとこでバイトしてくれない?」 「えっ、桜子さんはやめるんですか?」 「私は色々とあって出れる日が少なくなっちゃったのよ」 「そうなんですか……」 「だから、サークルで一番信頼できる友希くんに変わって欲しいの」 そう言われると嬉しくなって承諾してしまった。 食事が終わると小宮さんのオフィスへ行った。 桜子さんは用事があるらしく、帰って行った。 俺は小宮さんの会社でアルバイトすることになった。 桜子さんはそれ以来あまり大学に来なくなった。 久々に会った桜子さんは、化粧が少し濃くなっていた。 化粧なんてしなくても綺麗な人なのにどうしたんだろうと思った。 しかし会えて嬉しいのは事実だ。 「学食でお昼しない?」誘われて勿論ニコニコしながらついて行った。 すると、友達を紹介された。 「彼女は原友里香さん、私の親友よ、アナウンサーを目指してるの」 「今日は友里香です、あなたが噂の友希くんね」微笑んだ。 「えっ???」 「友里香!余計な事は言わないで、それより連絡先を交換して、イベントのMCの仕事が有ったら連絡してあげてね」 「あっ……そう言うことですか、了解です」連絡先を交換した。 「じゃあよろしく、邪魔者は消えるね」そう言い残して帰って行った。 「えっ???」
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