霧島 雫と村沢 宗士

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エレベーターに乗り込むと、宗ちゃんは私の少し前に立った。 まるで盾になるみたいだ。 私はそっと一歩後ろに下がる。 お父さん譲りの少し茶色の髪と、柔らかな茶色の瞳はもう隣から見下ろしたりしないんだ。 宗ちゃんは後部座席のドアを開けて、私が乗り込んだら一度周りを見渡して運転席に座った。 「どの辺りに?」 「表参道に」 いつもは行かない所だけど、毎日この服でいる訳には行かないから。 宗ちゃんが黙って車を出す。 窓の外を眺めながら、私は一言も話さずに過ごした。 相手が宗ちゃんじゃなかったらきっとそうするから。 幼馴染でも、友達でも無い。 何度もそう言い聞かせていた。
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