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遠くに忽然と白亜の大門が出現している。その扉がゆっくりと内側に開くや、中から金色の神々しい光が溢れ出た。ユナは目をすがめる。門前にたいそう優美な赤い巨鳥が現れ、のびのびと旋回しはじめたからだ。
「わ、大きいねえ。なんて綺麗な羽根!」
「あれは騎乗用の鳳凰だな。義妹は飛べねえからって、アヤタカが鳥を見繕ってくれたんだ」
その鳥の後方に控えるのは飛天の一師団だ。中央でさかんに手をふっている飛天がいる。優美な白い羽根の先端は緑がかっており、いかにも貴妃然とした装いで、結いあげた髪は灰銀と薄紅色。遠目から見ても一際美しい。
ユナは目に涙を浮かべて手を口元にあてた。――まちがいない、あの女性は。
「姉さま……、来てくれたの?」
火遼はいたって上機嫌になって笑った。
「ああ。あそこまで抱いて飛んでいってやるから、ちゃんと俺につかまってろ」
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