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僕は不動産屋に行った。
引き戸を開けると相変わらず殺風景な店内には客もおらず、小柄なおじさんが新聞を読んでいる。
「あの…」
僕が声をかけると不動産屋は眼鏡を外し眉間に皺を寄せた。
「何かあった?」
「実は…」
僕は公衆電話の事と時々現れる幸子さんであろう女の人の事を話した。
「幸子さんから電話…話したんだ…」
不動産屋は考え込む様にぶつぶつ独り言を言いっている。
「何で君に?」
「それ僕のセリフですよ!たかしってそのDV男ですか?そいつを連れて来れば幸子って人成仏するんですか?」
「いや…無理かな…だって、そのたかしって201号室に居るから」
「え?」
201号室に居るって?じゃあ何で呼んでこいって言ったんだ?もう居るじゃないか…。
僕は更に混乱していく。
「たかしさんに会わせて下さい」
僕がお願いすると不動産屋は頭をかいた。
「大丈夫かな…」
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