たかし

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「どうせ俺は最悪だよ。最悪最低!あいつが妊娠したって言った時も俺の子じゃないだろって手を挙げたからな…」   みんなが原さんを睨みつけた。 「だってそうだろ?他の男ともヤッてるんだぜ?俺の子って確信なんてねぇじゃんか!だから堕ろせって言ったんだ!そしたら消えやがって!俺だって懸命に探したよ!あいつは俺に必要だったからな!」 僕はあまりにクズ過ぎる発言に膝に置いていた手を強く握りしめていた。 「なのにあいつは死んだ後に俺の前に現れやがった」 原さんは頭を掻きむしり貧乏ゆすりの激しさを増していく。 「18年間ずっと出てくるんだ…俺の名前を呼びながら『赤ちゃんは何処』って…」 原さんの息づかいがどんどん荒くなり肩で息をし始めると急に立ち上がり叫んだ。 「赤ん坊なんて知らねえよ!勝手に出て行って、勝手に産んで死にやがって!それで何で俺の所に出てくるんだよ?意味わかんねーんだよ!畜生!」 そして座っていた椅子を思い切り蹴飛ばし、さらに怒りに任せて倒れた椅子を蹴り続け原さんが落ち着いた時には椅子は変形していた。 僕はその歪んだ椅子を見て幸子さんの姿を重ねた。
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