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公衆電話
坂道荘に住んで3ヶ月、夏になると坂道荘は灼熱地獄となる。
クーラーなど付ける金などない僕は100均で大きめの保冷剤を幾つか買い、それでどうにか暑さをしのいでいる状態だ。
「谷川くんは実家に帰らないの?」
相羽さんが共同の冷蔵庫から麦茶を出した。
「はい、夏休みはバイト掛け持ちして稼がないと…。父親とはまめに連絡してるんで」
「谷川くんは頑張り屋さんで私大好きよ。ほらこれでも食べて!」
と冷凍庫からあずきバーを出して僕の手に握らせ部屋へと戻った。
その時
リリリリィン リリリリィン
あのピンク色の公衆電話が鳴った。
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