閉ざした想い

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「あや」 しばらく荷物の整理をしていると、ノックもなく彼が入ってきた。 「家の中ではあまり話さないようにしよう」私がそう言うと、「そんなの嫌だ」と彼は言った。 「あや、ずっと言おうと思ってたんだけど、俺さ、あやのこと__」 「やめて」 そんな言葉、こんな時に聞きたくない。 本当はもっと素敵な場所で聞くはずだった。 きっとその日は人生で一番幸せな日で、帰宅した私は母に、初めての彼氏ができたの、と打ち明けるのだ。 こんなふうに、望まれない恋だと知ってしまったら、それはきっと失恋よりも悲しい。
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