4人が本棚に入れています
本棚に追加
「私達はただのクラスメイトで、それ以上でもそれ以下でもないの」
彼が私の腕を掴んだ。
ずっと彼の顔を見ないようにしていたつもりだったのに、思わず顔を上げてしまった。
彼の辛そうに歪んだ顔に、胸が締め付けられる。
「なんでもないフリなんてできない。こんなにあやのこと好きなのに」
視界が歪む。
泣くつもりなんてなかった。
泣いている姿を母に見せるわけにはいかない。
幸せな二人の邪魔をするのは、許されない罪だ。
「あやも、俺のこと好きでしょ?」
縋るようにそう聞いてくる彼に、私は頭を振ってみせた。
私達は、まだまだ子供で、何が正しいかなんてわからない。
だけど、大人が思っているよりもずっと大人で、お金は稼げなくても、誰かの幸せを願うくらいのことはできる。
最初のコメントを投稿しよう!