閉ざした想い

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彼と初めて会ったのは、高校の合格発表日のことだった。 親友のまいちゃんと一緒の高校に通いたくて、必死に勉強してなんとか受かった高校だった。 自分の受験番号を見つけるまで息が苦しくなるくらい緊張していて、受かったとわかった瞬間私の目からは涙が溢れ出した。 まいちゃんは「受かったのにどうして泣くのよ〜」と言いながら、仕方がないというふうに私のことを抱きしめた。 泣きながら帰ろうと歩き出した私は、1人の男の子にぶつかった。 男の子は、泣いている私に気づいて慌てていたが、まいちゃんが「受かったのが嬉しくて泣いてるだけだから」と気にしないように言うと、少し考えたようなそぶりを見せた後、1枚のハンカチを差し出してきた。 私が受け取っていいのか迷っていると、彼は「また入学式に」と言って友人達と一緒に去っていった。
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