閉ざした想い

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涙で視界が滲んでいた私は、彼の顔をはっきりとは見ていなかったが、背の低い私とは正反対に、すらっと伸びた背がかっこいいと思ったのを今でも覚えている。 入学式の日、まいちゃんと同じクラスに浮かれながら教室に入った私は、彼と再会した。 志水大翔(しみずひろと)、友達からはヒロと呼ばれていた。 テストの成績も良くて、バスケ部でも活躍してて、かっこよくて話も面白い。 男の子にも女の子にも人気で、クラスの中心にいるような人だった。 クラスの隅で目立たない、美術部の私とは大違い。 入学式の日、再会したら渡そうと思って洗濯してアイロンもかけていたハンカチを、結局返せたのは1学期の終わりも近い7月のことだった。 「ハンカチ、いつ返してくれるの?」
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