閉ざした想い

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本当に偶然だった。 部活終わり、教室に忘れ物をしたことに気づいた私が教室に戻ると、同じく忘れ物を取りに来たのであろう彼と鉢合わせた。 私達は同じクラスでも、関わることなんてほとんどなくて、少しだけ気まずさを感じていた。 鞄の中にずっと入れたままのハンカチを、私だけがずっと意識しているようだった。 慌てて机の中からペンケースを取り出して鞄にしまうと、私はすぐに教室を出ようとした。 そんな私の背中に彼は突然声をかけてきた。 「えっと…返してなくて、ごめんなさい」 何か言わなければ、そう思うのにうまく話せない。 鞄に入っているハンカチを返すべきだろうか? だけど、ずっと持ち歩いているなんて気持ち悪いと思われないだろうか? たまたま今日返すつもりだったと言う? 一瞬でいろんなことを考えた。
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