閉ざした想い

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大学進学を機に、一人暮らしを始めることになった。 それがいいタイミングだと思ったのか、幼い頃に離婚してから女手一つで私を育ててくれた母が、再婚をしたいと言ってきた。 奥さんを亡くして、私と同い年の息子を1人で育てた立派な人だという。 相手の息子さんも大学進学を機に家を出るから、この機会に籍を入れようと思ったのだと母は言った。 私は、母の母としての顔しか知らなかった。 嬉しそうにその人のことを話す母が、まるで少女のように愛らしく、私は幸せな気持ちになった。 私にとっての彼のように、母にも愛しく思う相手がいる。 母ひとり子ひとりの2人ぼっちの家族だから、母と離れることがとても寂しかったが、離れていても互いに幸せな暮らしが待っているのだということが、とても素敵なことに思えた。
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