閉ざした想い

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母の恋人とその息子に会って、私は愕然とした。 「2人は同じ高校なのよね」 「びっくりした?」 「進学先も同じだなんてすごい偶然ね」 楽しそうにそう言う母の声も、私の耳には一切入ってこなかった。 落ち着いた母の恋人の声はやさしくて本当にいい人なのだろうと思った。 今まで苦労をかけた分、母には幸せになってもらいたい。 目の前にいるこの人が、彼じゃなかったらただ素直に祝えたのにと、そう思った。 その日は、お互いにただのクラスメイトを演じた。 同じクラスというだけの、特段仲がいいわけではない男女のふりをした。 私達は子供で、こんな時どうするのが正解かすらもわからなかった。
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