閉ざした想い

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2人の再婚が決まって、私が一人暮らしのために引っ越すタイミングで、母も新居に引っ越そうという話になった。 必要最低限のものだけをまとめて、新しい家に向かった。 アパート暮らしの私達にとって憧れの一軒家。 いつかこの家に来たかった。 彼の家族に恋人として紹介される日を夢見ていた。 彼が私と同じ片親だということも、こんなに大きな家に住んでいることも何もかも知らなかった。 私の部屋だと紹介された部屋に、ほんのちょっとの荷物を運び込んだ。 「もう一人暮らしするからほとんど使わないかもしれませんが」申し訳なくてそう言うと、義父は「長期休暇には、お母さんの顔を見に帰ってきてほしい」と言った。 笑うとえくぼができるところが彼そっくりで、ああ、本当に親子なんだなと思った。
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