出会い

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出会い

俺は四宮秋葉。財閥の一人息子だ。今日俺は新しいボディーガードを雇う。 名前はシオンと言うらしい。親父のお墨付きだから安心して過ごせる。 「コンコン」ドアをノックする音がした。「入れ」 「初めまして。シオンと申します。」 「俺は秋葉。俺は『ケーキ』だ。そのところちゃんと把握しとけよ」 この世界には性別の他に『ケーキ』と『フォーク』がいる。 『ケーキ』は先天的に生まれる「美味しい」人間の事。フォークにとっては極上のケーキのように甘露な存在で、彼らの血肉はもちろん、涙、唾液、皮膚など全てが対象となる。 『フォーク』はケーキを「美味しい」と感じてしまう人間の事。彼らの殆どが後天性で、何らかの理由で味覚を失っている。 俺は『ケーキ』だ。しかもケーキの中でも最も美味しいとされる四宮家の息子。 幼い頃から色んな人に襲われそうになったが、俺の専属ボディーガード達が守ってくれた。しかし、ボディーガード達とは1週間もせずに契約を終了した。 何故なら契約内容が、俺を守る報酬が『俺の血』なのだから。 フォークは特に能力の高い者が多いが、報酬が無いと能力を発揮出来ないのである。 そこで俺の血を報酬にし、能力を発揮させていたが、なんせ極上のケーキの一族「四宮家」である。俺の血を報酬以外でも求めるようになる者が100%。すぐさま襲われそうになり、解雇。と言う感じなのである。そして今回もいつも通りボディーガードを雇ったのだが…………. どうやら俺は運が良いようだ。いや、悪かったかもしれない。何故なら俺がボディーガードとして一目惚れした男が現れたからである そいつの名前は雨宮シオン。今年高校に入学したばかりの15歳。 容姿端麗、スポーツ万能、秀才。これほどまでに完璧な人間はいない。 学校の内外構わずファンクラブがあるそう。そして、『フォーク』だ。 雨宮家は代々ボディーガードの仕事をしていて、一度だけ雇った事がある。 ソイツはとても優秀なボディーガードだったがすぐ俺の血の虜になり解雇した。 その時の事は今でも鮮明に覚えている。 他のヤツはボディーガードの仕事中にも関わらず、隙あらば血を求めてきた。 しかし、この男は違った。今までとは違う何かを感じたのだ。 俺を襲ってこない。それどころかボディガードを辞めてまで俺について来たいと言い、怖くなって解雇したのである。 「あっ‥あの………どうしたんですか?」シオンが下から覗き込んでくる。 「少し考え事してて………お前、『報酬』については聞いてるか?」 「ええ。貴方の血なんですよね。」 「いいか?報酬以外で俺は血をやらん。報酬が欲しけりゃ俺を守るんだ。分かったか?」シオンは何も言わずコクリとうなづいた。 それからは学校に行きながら護衛をして貰っている。 学校では何故か女子達の視線を感じるが、気にしない事にしている。 そんな日々が続き遂に事件が起こった。 俺は放課後、先生に呼ばれ職員室に向かっていた時、1人の女子が倒れていた。 「大丈夫で………⁉︎」倒れていた女子が俺を押し倒し、首筋に噛み付く。 「い゛っ‼︎」じゅるりと流れ出る血を吸う。「ふふっ‥やっぱり四宮家は違う…」 女子が頬を赤らめながら言う。コイツ………フォーク‼︎俺はすぐシオンを呼んだ。 ダンッ‼︎大きい音がしたと思いきやシオンが襲ってきた女子を拘束し、俺の元へ近づく。「大丈夫ですか⁉︎何をされたんですか⁉︎」シオンは俺以上にパニックになっている。「大丈夫だ。首筋を噛まれ、血を吸われただけだ。それ以外は何もされてない」 「良かった〜」「とりあえずこの女は麻酔薬を打って、対四宮の薬を打て。」 『対四宮の薬』四宮の体液などを取り込み、興奮状態になったフォークに打つと、興奮状態は収まり、四宮家の体液などに対して抗体が出来る。 「とりあえず屋敷に帰って手当をしましょう」 〜屋敷〜「どうして襲われたのですか?」シオンが手当をしながら聞く。 「あの女が倒れていて………助けてようとしたら襲われた………」 「なるほど。分かりました。気をつけて下さいね。」 「あぁ、すまないな」 「いえいえ」そう言ってシオンは部屋から出て行った。 (アイツ女子からモテそうだな) そんな事を考えているとドアがノックされる。「入って」 「おい秋葉、お前また襲われたそうだな」「親父………」 「大丈夫か?」 「あぁシオンがすぐきてくれたおかげで何とも」 「シオン、アイツはどんなか?」 「シオンは、俺が呼んだらすぐ来てくれるし、強いし、優秀なボディーガードだよ」「なら良いが…….お前を狙う輩は多い。くれぐれも注意しろよ」 「分かってるよ。じゃあお休みなさい。」 俺は自室のベッドに横たわり今日の出来事を思い出していた。 「あっ‼︎シオンに報酬あげてない‼︎」急いでシオンを呼ぶ。 「何ですか急に。」「シオンに報酬あげてなかったなぁって思って」 「ん」俺はパジャマのボタンを開け、首筋をシオンに向けた。 「あんたって人は………良いんですか?飲んでも。」 「そーゆー契約じゃんか。ほら」 「失礼します」ガリッ ちうちうと俺の血を吸うシオン。耳が赤くなっているのが分かる。「美味しい?」俺が聞くと「ふぁい」と答えるシオン。理性があるな……… 今までのボディーガードとは違う。今までのボディーガードは一口飲んだだけで理性を飛ばす事が多かったのに………コイツは何者なんだ? 俺は血を飲むシオンを見ながら考えていた。 「ご馳走様です」と言って、シオンは出て行ってしまった。 俺はまだ眠くなかったので、パソコンを立ち上げ、ネットサーフィンをしていた。するとニュースでこんな記事を見つけた。 『フォークの男性、ケーキの女性を5人殺害後、捕食。』 やっぱりフォークは危ないな………でもシオンは違う………俺の血を飲んでも理性を保っているし………何者だ?本当に謎だらけだ。 そんな事を考えながら俺は眠りについた。
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