事件

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事件

六月十二日午後、大阪府堺市堺区の不法投棄されたごみの山で火災が発生、消火にあたった消防署員が、野積みされたタイヤの中から女児の遺体を発見した。男児は身体的な特徴から、今月十日より行方が分からなくなっていた同市に在住の夏目明人(あきと)さん(45)の長女で小学六年生の夏目未希(みき)ちゃんであると断定された。 未希ちゃんの遺体は司法解剖中であるが、遺体に銃創が見られたことから、これが死因になったという見方が強い。そして不可解なことに、遺体の手に麻雀牌の一筒(イーピン)が握られていた。警察はこの点について、犯人が握らせたものでないかとの考えを示している。なお、火災の原因は古タイヤの自然発火とみられている。 和歌山県白浜町富田地区の資材置き場で二十五日、市立南小学校に通う小学校三年生の古倉宮子(ふるくらみやこ)ちゃんが死体で発見された。白浜警察署は宮古ちゃんの死因について、胸部を短銃で撃たれたことによる失血性ショック死と発表した。不可解なことに、宮古ちゃんの手には麻雀牌の二筒(リャンピン)があった。無理やり遺体の手をこじあけたような跡が残っているため、警察はこれを犯人が握らせたものと見ている。 六月に入り、大阪、和歌山と両県で女児が射殺される事件が二件発生している。過去二件と今回の事件では、凶器とした短銃が使われていること、被害者がいずれも小学生の女児であること、明らかに犯人が握らせたと見える麻雀牌など、手口が酷似していることから、二件は同一犯である可能性が高いと断定し、目撃証言の収集を最重点に集中捜査をしている。 七月十三日、奈良県生駒市の休耕地内の物置小屋で会社員橋本武夫(はしもとたけお)さんの長女で生駒北小学校四年の絵里(えり)ちゃんの遺体が発見される。自宅からわずか二キロの地点だった。死因は短銃で心臓を撃たれたことによる失血死。遺体の右手には、麻雀牌の三筒(サンピン)が握られていた。 警察は本件を大阪、和歌山と続いている女児連続殺害事件と同一犯だと断定し、近日中に各事件の捜査本部を統合再編し、県警本部内に新たな捜査本部を設置する予定。
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