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近所のコンビニで、あったかい肉まんを買って帰った。ひとり、さむいアパートで、靴も脱がずに玄関先ではふはふ食べる。美味しい、と感じる自分が滑稽でもあったし、みじめでもあった。――肉まんひとつ、99円ぽっちで満たされるチープな自分のいのち。孤独で――寂しい。
感情が麻痺してもう、涙さえも出やしない。こんなわたしがいなくなったとて、世の中の人間、誰一人とて困りやしない。あとは、死に方――死に方さえ分かれば。なんて考え込むくらいには、自分は、病んでいる。
* * *
通勤電車のなかでは基本、Spotifyで音楽を聴いている。癒されるから。ぎゅうぎゅうの電車のなかで……自分が孤独な戦士だ、ってことを忘れられるから。
同乗する人々に対し、同族意識なんて感じやしない。みんな、家庭があるか、若い子かの、いずれかだし。こんなに、求められてもいないのに懸命に存在証明を欲する自分が虚しい。――と。
胸にあたる感触に気づく。つり革を持っているほうの手の下ががらあきなのでそこを――肘でつつかれている。スーツの袖を見る限りでは、相手は、男だ。
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