卒業

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早朝の、まだ生徒が登校していない静かな校舎を一人歩く。 この世界にひとりぼっちになってしまったかのような錯覚に陥った。 寂しい、けれどどこかわくわくする。 校庭に視線を移すと、桜の花が蕾をつけていた。 3月の初め、まだ外は肌寒い。 次の新入生が入学する頃には、桜も満開になっていることだろう。 3階まで階段を昇り、廊下を進む。 見慣れた教室のドアを開けて中に入った。 窓際の一番後ろの席まで歩く。 初めて会った時、ここに彼は座っていた。 この隣が私の席。 ひっこみじあんで自分から話しかけられない私に、彼はいつも優しく声をかけてくれた。 明るくて、気配りができる彼は、私にとって憧れだった。 彼のおかげでクラスに馴染めたし、友達もできた。 本当に感謝している。
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