卒業

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私もそうだった。 たまに思い出してスクールカウンセラーのお姉さんの前で泣くことはあったけど、そのうち頻度も下がって、2年生に上がる頃には日常に戻っていた。 たまに彼のことを思い出しても、もう心がかき乱されることはなかった。 けれど、なぜだろう。 今日はあの頃に戻ってしまったみたいだ。 私は、あふれる涙を袖口で拭った。 泣き止もうと思っても、なぜか止まらなかった。 「_____」 彼の名を呼ぼうとしてやめた。 窓を開ける。 冷たい朝の空気を胸いっぱいに吸い込む。
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