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ただし、師弟話はいいものばかりではない。念のため確認する必要があった。 「なんの弟子だよ」 「風呼びだよ」 「風呼び!?じゃあ、船に乗れるのか!」 風呼びは航海に関する職のなかでも、かなり重要な役割と聞いていた。港に出入りする船に見とれて育つこの街の子供たちからしたら、憧れの職業のひとつだ。もっとも、仕事の内容まではよく知らなかったが。 「おまえの親はどこだ。話をつけに行こう」 「こっちだよ!」 シルフィは得意になって、薄暗い路地を案内した。船に乗れるのなら、この狭く汚い、将来性のない場所から抜け出せる。広い世界を見に行けるのだ。これほど嬉しいことがあるだろうか。 親ももちろん、ふたつ返事で許した。食い扶持がひとり減るだけでも助かるうえ、特殊技能が身につくのだ。自分たちにとっても、子供の将来にとっても、こんなにいい話はなかった。 そうして、シルフィは風呼びゲイルの弟子となった。 あの砂糖菓子の包みは一度も手に付けないまま、家に置いてきた。
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