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しかし、こういう人には大体「好きです」が通じないものだ。例えそれが学校一のイケメンだったとしても、全国で一番頭のいい人間でも、有名な芸能人でも。すべての告白を振り払っていく。
彼女も例外ではなかった。
ことごとく、皆振り払われた。
――あまりにも高嶺の花すぎる。
陰気な僕には告白なんて無謀な選択肢は一切なかった。したとしても当然のようにフラれるのがオチだ。
彼女に出会って三日。僕は彼女に抱いた恋心を、見て見ぬふりをするように心の奥へ押しやった。
それなのに、今更。しかも自分の名前が入った包丁。狂ってるとしか思えない。
「狂ってる?そう思うよね」
僕の意を汲み取ったように、しかし笑顔のまま彼女は呟く。
「そう、だね。狂ってる」
少し声が上ずった。何を緊張しているんだ。
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