卒業祝い

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「あは、正直だなあ」  彼女が無邪気に笑う。思わず、目が合った。その無垢で澄んだ瞳に僕は釘付けになる。 「ねえ、神田くん」  とっさに目を離そうとした。 「この包丁で」  でも、離せない。離れられない。 「私を」  まっすぐ見つめた彼女の目から、僕は彼女が次に何を言うのか全て理解した。 「殺して」  思わずため息がでた。
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