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「あきれた?」
「うん、呆れた」
「じゃあ、はい」
僕の手に包丁が渡る。持ってみるとそれは意外と重くて、ふわふわとした彼女の表情とは裏腹に嫌な現実味があった。
「……接続語がおかしい。何でそうなるんだ」
僕はもう一度、しかし今度は意図的にため息をついた。彼女はまた笑った。
「やっぱり神田君は面白いね」
「どこが」
「いろんなとこ」
そしてもう一度彼女が笑った。彼女が笑うと、風が笑った。漆黒の髪がなびく。やっぱり、どうしようもなく綺麗だった。
「……どうして死にたいの」
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