卒業祝い

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うーん、と彼女が唸る。 「死後の世界を見てみたいから?」  彼女はこくんと横に首を曲げた。 「ふざけないでよ」 「まさか、本当よ?ただ――」  彼女はずっと微笑んだままだが、その刹那、彼女の顔に少し影が落ちた。 「ただ、この世界にもう何の期待もなくなっただけ」 「期待?」 「そ。好奇心だとか、求知心だとか、そういうもの」  少し驚いた。彼女がそういうことを思っているなんて――いや、彼女だからこそそう思うのかもしれない。全てを知り尽くしたこの人には、もうこの世界の何もかもがシロクロに見えているのかもしれない。 「だから、包丁か」 「そう」
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