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1.自分を含めて「自分」が九人いる
3月某日。県立R高校の体育館で卒業式が執り行われていた。
三年一組で出席番号1番の幾多美カエラが座る椅子は、卒業生の座席の最前列で一番左。
ところが、彼女の右も、そのまた右も、その先も、続けて五人分の席が空いている。
誰もが思う。大学受験で欠席したのだと。
卒業式の日程と受験日が重なるのは、私立U大学。
と言うことは、U大を受ける子は、欠席せざるを得ない。
だが、逆は真ならず。
カエラは、五人中三人は絶対にサボりだと信じていた。
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