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新たな発見を2つした。
1つは、どうやらチーズは万能ではないらしいと言うこと。
もう1つは、一昨日も感じたようにトマトは火を入れるとシャレにならなくなるということ。
「・・・・・・それなら、これならどうよ!」
昨日の初めてチーズが乗った料理を捨てた苦い思い出は忘れ、昨日の過ちを教訓にして、私はまたキッチンに立っていた。
目の前にあるものはトマト──だけでなく、大葉や麺つゆ、ごま油、煎りゴマもある。昨日無念な気持ちで調べ、何とか見つけた情報によるとトマトと大葉の相性がいいらしい。
作り方は簡単だ。
トマトを串切りにして、更に小さく切って、細切りにした大葉と一緒に、麺つゆとごま油と煎りゴマを混ぜ合わせたタレが入っているボウルに入れて絡めるだけ。
こんなトマト感溢れる物でトマトを食べられるようになるのか謎だが、しかし物は試しである。何でも試してみなければ結果はわからないものだ。
「いただきます」
箸を握り、大葉とトマトを一緒に口に放り込む。
「・・・・・・ん、大葉の味しかしない! これならいけ・・・・・・あー!」
ぎゅっと握りしめていた箸が虚しい音を立てながら床にころがった。完敗である。
しかし、私の気分は最高だった。
「最高新記録更新・・・・・・!」
一瞬で消え去ったが大葉のカモフラージュによって、今までで一番長く口の中にトマトを入れていられた。これなら、次は・・・・・・!
「あぁぁぁ冷製スープなら行けると思ったのに!!」
「トマトとオレンジのハニーコンポートって何ぃぃ!」
「もういっそトマトを手で搾ったトマトジュース・・・・・・トマトォォァ!!」
「火を通すって言ってもミネストローネなら固形じゃないし大丈夫っしょ・・・・・・って、そんなわけないか・・・・・・っ!」
「なぁぁぁぁぁ!!!」
40敗、50敗と順調に負けの新記録を更新していく。こんなはずじゃ・・・・・・!
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