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「加賀太さん、どうしたの?」
「えっ?」
あまりに酷い成績に、学校でスマホと睨めっこしていると不意に声を掛けられた。あれ、この爽やかな声は──・・・・・・。
「こ、小金瓜くん!?」
ま、まさか小金瓜くんから声をかけてくれるなんて、夢みたいだ。私は慌ててトマトの調理法が表示されたスマホの画面を閉じ、姿勢を正した。
「えっと、どうしたの?」
「あ、どうしたって訳じゃないんだけど、凄く辛そうな顔してたから心配になって。大丈夫?」
あぁぁ、眉尻を下げて心配してくれる小金瓜くん、優しい! イケメン!──何て言うわけにもいかず。
「だ、大丈夫だよ!」
「そう? ならいいけど・・・・・・無理しないでね」
どこまでも優しい小金瓜くんに、思わず嘆息が出る。なんでこの人はこんなにもサッパリあっさり優しいのだろう。
・・・・・・やっぱり、告白したい。告白して、あわよくば付き合いたい。
それなのに、私は──。
「それじゃ──」
「あのっ、小金瓜くんっ!」
「ん!? 何!?」
「私、実はトマト食べられないの!」
かくなる上は、トマト農園の息子である小金瓜くんに克服方法を聞くしかない!
「えっ」
「でも、食べられるようになりたくて、今トマトの克服方法を調べてたの。小金瓜くん、何かいい方法、知らない?」
よく考えれば、おかしな状況だ。好きな人に告白するために好きな人にトマトの克服方法を聞いている。
小金瓜くんからすれば、余計おかしい。突然同級生の女の子がトマトが苦手だと宣言し、克服方法を聞いてきているのだ。何なんだっていう話だろう。
しかし、それでも小金瓜くんは優しかった。
「んー、じゃあ、今日の学校帰り、うちに来る?」
「え、」
ええええええっ!?
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