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第16話 進撃準備
5月になった。
ハイベルト領のハオルド公爵に暗殺の件で抗議文を出したけど、『当方は関与していない』と返事が返ってきた。
まあ、そうなるでしょうね。
増援も到着した。
サルベリア領200人とナンダン領300人だ。
ただあまりにも士気が低く体裁を繕って出兵してきました、という感じ。
それはそうね。
農民は田植えや稲刈りの時期は戦えない。
テスト期間中に部活の練習をさせられるようなものだわ。
それに武器もろくに無く今までは自前で刀や槍や鉄砲はお金がかかるから、田んぼで使う鋤や鍬をもって参加する農民もいた。
それに農民兵士が戦場で命を落とすと、農業の担い手がいなくなるので、国の生産力が下がってしまう。
だからこの収穫時期には戦争をしないことが暗黙の了解となっている。
しかし常識を破ることで派を目指す。
ハイベルト領はレイトン国の中では数少ない港町だ。
その商業都市を直轄地にすれば、税金で儲けることをできる。
報酬は日給でいずれは月給で支払うと農民兵士に約束し略奪を禁止した。
それがダレナン公爵親子に話したビッチェのやり方だった。
まず手始めに装備を充実させないと。
ミリアちゃんは今まで倒してストレージに収納してあった、恐竜の素材を加工サイトに頼み防具や武器に作ってもらった。
出来上がった強弓、長槍や防具は赤色をしたものとなり部隊の装飾を赤で統一した。
のちに『ダラクアの赤備え』を呼ばれ赤色でそろえたダラクア軍は、その戦いぶりからも火の玉が飛んでくるようであると敵兵を恐れさせた。
「こうして朱色の装備で揃え勢ぞろいすると圧巻ね」
『赤で揃え人数が居ることで相手に圧力を与えることが出来るわ。それに今、鳥羽衆に工作に行ってもらっているしね』
鳥羽村の人達を鳥羽衆と呼び、ハイベルト領で流言を広めることを命令している。
例えば7m近い長槍を持った鬼のようなダラクア兵が強力な武器を持ち、何万の大群でやってくると。
弓は遠く離れても高く飛び人を射抜くと。
出城さえもものともせず、城門も簡単に破壊できる武器があると。
ダラクア軍に味方をすれば農民兵士の報酬は日給で払い略奪を禁止していると。
どの領も農民の取り分は収穫の3~4割。
生かさず殺さすが扱いが普通だった。
こんな良い条件はない。
準備が整い、いよいよ進撃の日は近づく。
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いつも応援頂いてありがとうございます。
続きを書きたいとは思っていましたが手がまわらなくて。
なんとか更新できました。
物語はまったり、のんびりと進み更新は不定期となります。
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