第3話 戦い

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第3話 戦い

「助けてあげるから、私には手を出さないでね!!」  私は馬車側の護衛に聞こえるように、風魔法に乗せ大きな声で言った。  すると護衛と賊が同時に、驚いたようにこちらを向く。 〈〈〈〈〈  Over All(オーバー オール) 〉〉〉〉〉  私はステータスを一時的に上げ走り出す。  タッ!!タッ!!タッ!!タッ!!タッ!!タッ!!    タッ!!タッ!!タッ!!タッ!!タッ!!タッ!!  賊に近付き剣を振るう!!  ドンッ!! ドンッ!! ドンッ!! ドンッ!!     ドンッ!! ドンッ!! ドンッ!! ドンッ!! 「わっ!!」  私は風のように舞い馬車の正面左側の賊?の一団を通り抜ける。 「ぎゃあ!!」 「いてえ~!!」 「安心せぇ、 峰打ちじゃ!!」  私は呟く。 『あの~、ビッチェ。ミスリルソードは両刃だよ』 「いいのよ、ミリアちゃん。雰囲気よ、雰・囲・気!!」 『それにどちらが正義なのかわからないから、手加減するんじゃなかったの?』 「う、うん。なんか面倒で…殺していないから良いかなて」 『段々と大雑把になって行くのね』  次元の(ほころ)びを塞ぐ旅で魔法を使えない場面があり、いつの間にか剣技を覚えた。  一緒に旅をしていた、双子の戦闘メイドに教わりながら私は強くなって行った。  物思いにふけっていると弓矢が飛んでくる。  私は矢が飛んできた方にLightning(ライトニング)を叩きこむ!! 「うわ~!!」 「ぎゃ~!!」 「ま、魔法だ…」 「魔法だ…」  馬車の護衛、それに賊側からもそんな声が聞こえる。  魔法も珍しいほど、ここは田舎なのかしら?  そして私は巨大なWater Ball( ウオーター ボール)を作り、何度も森の中に飛ばす。  バシャ~~!!バシャ~~!!バシャ~~!!   バシャ~~!!バシャ~~!!バシャ~~!!  そしてまたLightning(ライトニング)を森に打ち込む。 「ぎゃ~!!」 「いてえ~!!」 「ぎゃ~!!」  Water Ball( ウオーター ボール)で水浸しになり、そこにLightning(ライトニング)を撃ち込まれ感電している。  これで片側の賊?は倒したはずだわ。  フライの魔法で馬車の上に乗り叫ぶ。 「馬車の護衛は離れて!邪魔よ!!」 〈〈〈〈〈 air bat(エア バット)  〉〉〉〉〉  ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!    ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!      ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!  賊側の剣を持つ手や肩に、空気の塊をぶつけていく。  ボギッ!! ボギッ!! 「うわ~!!」  ボギッ!! ボギッ!! 「いて~!!」  ボギッ!! ボギッ!! ボギッ!! ボギッ!!     ボギッ!! ボギッ!! ボギッ!! ボギッ!! ボギッ!!       ボギッ!! ボギッ!! ボギッ!! ボギッ!! ボギッ!!    う、しまった。やりすぎたわ。  腕が変な方向に曲がってる?!!  ふぅふぅひゅひゅひゅ!! 『ビッチェ、吹けない口笛でごまかそうなんて駄目よ』  だって~ミリアちゃん。 「ま、魔法だ?!!」 「魔法だ!!」  護衛の人達からそんな声がまた聞こえた。  腕が折れ肩を押さえ座り込んでいる賊側の人達も同じだ。 「魔法だ!!」「魔法だ!!」「魔法だ!!」「魔法だ!!」   「魔法だ!!」「魔法だ!!」「魔法だ!!」「魔法だ!!」     「魔法だ!!」「魔法だ!!」「魔法だ!!」「魔法だ!!」  私は輪唱のような『魔法だ』の合唱に調子に乗り、馬車右側の森の中に特大のWater Ball( ウオーター ボール)を叩きこむ!!  ドバ~~~ン!!  波を打つような水が撒かれる。  そこにThunder Bolt(サンダー ボルト)を落とした。  上空に真っ黒な雲が垂れ込めていく。  そして落雷が走った!!   ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ!!   ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ!!   ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ!!    ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ、ゴロ!!  ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡     ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡   ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡  ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡ ⚡  ド~ン!!バゴ~~ン!!ド~ン!!バゴ~~ン!!ド~ン!!バゴ~~ン!!  ド~ン!!バゴ~~ン!!ド~ン!!バゴ~~ン!!ド~ン!!バゴ~~ン!!  ド~ン!!バゴ~~ン!!ド~ン!!バゴ~~ン!!ド~ン!!バゴ~~ン!!  ド~ン!!バゴ~~ン!!ド~ン!!バゴ~~ン!!ド~ン!!バゴ~~ン!!  魔法が落ちた森は跡形も無く吹き飛び、生い茂っていた木々は無くなっていた。  幸いにも事前に大量の水が撒かれていたため、火事にはならなかった。  良かった。備えあればよね~。  私はそんなことを考える。  そして森に居たはずの弓兵は跡形も無く吹き飛んでいた…。  余りの光景に、護衛は呆然としている。  ちょっと調子に乗り過ぎたかしら?  私は馬車の上から魔法でゆっくりと降りた。  馬車の護衛達は私を遠巻きに見ている。 「ここの責任者はどなたかしら?」  私が聞くと護衛の一人が真中の馬車を指差しながら答えた。 「ダニロ ・ワイゲルト・レームブルック様です」  誰かが刺された馬車ね。  私は真中の馬車に向かう。  その時に不思議に思った。  護衛の人達が誰もポーションを使い、怪我を治そうとしないからだ。  確かに死者は出ていないようだけど、矢傷で放っておけば化膿してしまうかも。  ポーションをあげても良いけど、敵かもしれないから様子見ね。  私は馬車に向い歩いている。  馬車に近付くにつれ声が聞こえる。 「お父様!!お父様、しっかりしてください!!」  馬車の中から、幼い少女の声が聞こえた。
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