株式会社ボルケーノ

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「我が株式会社ボルケーノの社訓は、世界征服。なぜなら、こうしている間にも自然が破壊され、環境が汚染され、地球温暖化が止まらない。地球は死にかけている。そんなことは神が赦してもこの俺、マグマ王子が赦さない。必ず食い止める。そのためなら、俺は手段を選ばない!」  王子は震える拳で机のテーブルを強く叩いた。 「各国の首脳に任せていては、いつまでたっても正常な自然を取り戻せやしない。奴等にこの地球を任せてはおけない。世界を征服し、環境破壊のない世界を手に入れてやる──やる──やる」  彼は掌を天に突き上げ、硬く拳を握ると自らの胸へ引き寄せた。  暫くそうしていたマグマ王子は我に返り、机の右側にある一番下の引き出しを滑らせた。中からA4のファイルを抜き取る。ファイルを開くとカルデラお嬢の顔写真と、彼女の経歴を記した用紙が挟んであった。 氏名:釜元(かまもと)美南(みなみ) 年齢:二十五歳 専攻:地球環境学部卒 特技:(むち) 「本名、釜元美南。お前の才能は必ずや役に立つ。俺をがっかりさせるなよ。華麗なる鞭(さば)きを奴等にお見舞いしてやるのだ!」  釜元美南(コードネーム:カルデラお嬢)は、環境に関する研究発表会で食物連鎖の研究について論文発表をしているところを、五十嵐が見つけヘッドハンティングした人材であった。彼女は、五十嵐の思想に共感し就職を即決した。
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