株式会社ボルケーノ

1/4
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ

株式会社ボルケーノ

溶岩(ようがん)隊長を呼べ!」 「はい社長、直ちに呼んで参ります」 「待て、私のことはマグマ王子と呼べ」 「はい王子、仰せのままに」  そう答えたのは、スレンダーな肢体にブラックレザースーツコルセット(SM風)を着こなした髪の長い女。片膝を床に突き、(こうべ)を垂れている。右肩にはショルダーガードを着けていた。  その女は立ち上がり王子に一礼すると、クルリと踵を返した。マグマ王子の瞳に、引き締まった彼女の大臀筋と、曲線美を引き立たせるエナメルボンテージパンツが映る。 「待て、カルデラお嬢」  女は腰に手を当て上半身だけを捻ってみせた。 「なんでしょう?」 「君には期待しているぞ」 「お任せください」  カルデラお嬢は、颯爽と部屋を出ていった。扉の外側から「ヨウガン隊長ぉ~! ヨウガン隊長ぉ~!」と、カルデラお嬢の甲高い声が漏れ聞こえてくる。  ふと王子は視線を床に落とす。カルデラお嬢が膝を突いていた位置に、ひとひらの桜の花弁が落ちていた。散り始めた桜が風に乗り、お嬢の肩に留まっていたのだろう。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!