王たちのアクワダクト

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「よし、じゃあ引くぞ」  佐瀬は自らのスマホを取り、ガチャの画面を出した。田頭が、恋人よろしく肩に頭を乗せてくる。もわっとした頭皮の臭いが鼻をついた。 「最後のガチャだ。何か来てみろ!」  ボタンを押すと、煌びやかなライトが光り、七色のカーテンが引かれた。これは高レアが出る際の演出だ。わくわくしてしまうこととサービス終了は関係ない。 「来い来い!」  田頭は佐瀬の手を握った。変に温かい温度が実に気持ち悪い。  ぱあっと光の玉が弾け、楽しげなドラムが響いた。そして現れたのは、 「(キュウ)()だああぁっ!!」  九つの尾を持つ大妖怪・九尾の狐。とても美しい女の姿をした火属性の最高レアだ。佐瀬はこれを引きたくて何十万と使ってきた。まさか最後に引けるとは思わず、うれしさと悔しさが混ぜこぜになった感情が溢れた。 「よっしゃあああ……なのか?」  その後は平凡な召喚獣や補助魔法が続き、最後の10連目で、またもや七色のカーテンが引かれた。 「佐瀬、またすごいの来るよ!」  田頭は佐瀬の頬に頬をつけていた。口臭を間近に感じ、一瞬くらっときた。 「来い来い!」  高揚を抑えずに田頭が言うと、ぱあっと光の玉が弾けた。そして現れたのは──。
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