15人が本棚に入れています
本棚に追加
「よし、じゃあ引くぞ」
佐瀬は自らのスマホを取り、ガチャの画面を出した。田頭が、恋人よろしく肩に頭を乗せてくる。もわっとした頭皮の臭いが鼻をついた。
「最後のガチャだ。何か来てみろ!」
ボタンを押すと、煌びやかなライトが光り、七色のカーテンが引かれた。これは高レアが出る際の演出だ。わくわくしてしまうこととサービス終了は関係ない。
「来い来い!」
田頭は佐瀬の手を握った。変に温かい温度が実に気持ち悪い。
ぱあっと光の玉が弾け、楽しげなドラムが響いた。そして現れたのは、
「九尾だああぁっ!!」
九つの尾を持つ大妖怪・九尾の狐。とても美しい女の姿をした火属性の最高レアだ。佐瀬はこれを引きたくて何十万と使ってきた。まさか最後に引けるとは思わず、うれしさと悔しさが混ぜこぜになった感情が溢れた。
「よっしゃあああ……なのか?」
その後は平凡な召喚獣や補助魔法が続き、最後の10連目で、またもや七色のカーテンが引かれた。
「佐瀬、またすごいの来るよ!」
田頭は佐瀬の頬に頬をつけていた。口臭を間近に感じ、一瞬くらっときた。
「来い来い!」
高揚を抑えずに田頭が言うと、ぱあっと光の玉が弾けた。そして現れたのは──。
最初のコメントを投稿しよう!