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「……誰だ、コイツ?」
佐瀬は画面を凝視した。どう見ても、最高レアの容姿ではない。もっと凡俗で、よく知っているキャラ。毬栗頭の、田頭にそっくりな男キャラだった。だのにレア度を示す☆の数は、最高レアを示している。
「……佐瀬……」
頬の横で、田頭が熱くなった。
「……やっと、『俺』を引いてくれたんだね! ずっとこのときを待っていたんだ。やっぱり佐瀬は、俺の運命の人だった! さあ、レッツ・フォーリンラブしよう!」
言うが早いか、田頭は唇を押しつけてきた。佐瀬は抗うことができず、床に組み伏せられた。そのまま顔を舐められ、たまらず彼を突き飛ばすしかできなかった。
「やめろッ、気色悪いッ!」
床に倒れた田頭は、潤む瞳で佐瀬を見つめた。
「そんなこと言ったって、佐瀬は『俺』を引いたじゃないか! 『俺』が出る確率は一億分の一なんだ。おまえが引いてくれることを願ってこのゲームを作ったんだぞ! 実際に『俺』を引いたんだから、運命の人で違いないじゃないか!」
佐瀬は、眉根を寄せた。
「おまえが……作った、だと……?」
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