王たちのアクワダクト

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 なまずりーとカエル大夫の領土は隣り合っており、なまずりーは西へ、カエル大夫は東へと領土を拡げていた。順調にいけば、双方が別の『猛王』と激突し、そのときは互いに強力な応援大部隊を遣わして勝利するはずだった。    しかし、このゲーム特有のルールにより、夢はついに叶わなかった。 『王たちのアクワダクト』は、戦闘行為に際し、次のような決まりごとがある。 一、 プレイヤーは、複数で協力しながら戦えます。 二、 協力しながら戦う場合、大将は戦争当事国の王が務めます。 三、 戦闘行為の初日は、大将がログインしている状態でしか戦えません。 四、 相手方の大将が、宣戦布告から十日以上ログインしなかった場合は、無条件降伏とみなし、その領土を獲得できます。 五、 勝利した王は領土を拡げられ、敗北した王は別の土地で再び王となります。 六、 この世界には、領土の限界がありません。心ゆくまでゲームをお楽しみください。  この決まりごと「三」にある、『戦闘行為初日は相手王のログインが必要』というのが、二人にとっては幾億の敵兵にも勝る障壁となった。  運営がサービス終了を発表し、無課金勢や微課金勢と(おぼ)しき人たちが一斉に見切りをつけてしまった。そうした場合の救済措置である「四」の『相手王が十日以上ログインしなければ勝ち』というルールも、サービス終了日を考えるとなかなか待てるものではない。わずか一ヶ月では、最大で三つの国を手中にできる程度で、それでは他の『猛王』の領土に届かない。
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