王たちのアクワダクト

　なまずりーとカエル大夫は、ゲーム内の掲示板やインターネットの掲示板で毎日のように呼び掛けた。

『おれたちを戦わせてください！　そうしなければ終われないんです！』

　だが、同情する声は少なく、中には心を抉(えぐ)られるような言葉もあった。

『あんなクソゲー、早く辞めた方がいいよ』
『重課金しか勝てない仕様で、無課金に訴えるとか草』
『戦闘が見れるならいいけど、他国の戦闘見れないじゃん』
『久しぶりにログインしたら、知らん土地で王レベル１だった』
『協力したくても協力できない仕様とか笑う』

　さらに衝撃的だったのは、
『俺も猛王だったけど、あんたらも諦めた方がいい。運営を恨め。それだけ言っとく』
　その人物が調べたところ、現在もログインしているのは合計で９人しかいないそうだ。各地の王が１８８５９人存在していることになっている中での９人。それが自国と隣り合っている確率は低すぎる。その９人には、佐瀬と田頭も含まれているのだ。

　なまずりーとカエル大夫は、それぞれ隣国に宣戦布告をしていた。どうぞ蹂(じゅう)躙(りん)してくださいと言わんばかりの状態なのに、ただ十日が過ぎるのを待つしかできないのがもどかしい。