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そんな日々を送り、今日、三月三十一日、午後六時には、ついにサービスが終了してしまう。現在は午後四時の少し前だ。
運営は『お知らせ』を発表して以降、何一つ情報を発信していない。あと二時間で全てが終わってしまうため、二人はもう泣きそうになり、初期に遊んだ訓練場で最後の刻を過ごすしかなかった。
ふと、大の字の佐瀬が言った。
「おまえに誘われて始めたんだ。責任ぐらい取ったらどうだ」
田頭は鼻を真っ赤にして答えた。
「楽しい思い出もあっただろ。俺一人のせいじゃない。世の中が悪いんだ」
苦しい思いをした方が多かったが、確かに楽しい記憶もないわけじゃない。
「こうなったら、同盟を破棄して二人で戦うか?」
佐瀬が言うと、田頭は涙をぼろぼろ零し始めた。
「それしかないと俺も思った。最後の戦闘相手はカエル大夫しかいない。きっといい勝負になるだろうって思ってた。でも、だめなんだ……」
男泣きという感じでもなく、ぐずぐずと泣く田頭に、佐瀬は問いかけた。
「だめって、どういうことだよ?」
返事はない。田頭は膝を抱えてそこに顔を埋めてしまった。
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