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先ほどの女性はこの老人の娘なのだろう。綺麗な白い肌をしている。変な模様があしらわれている民族衣装は老人の者と同じようであった。
「カミノマさん、この方がこの集落の長、イソンノアシ。狩りの名人という意味だ」
その見た目通りの名であった。まさに歴戦の戦士というわけだ。俺は、会釈をして入り口に背を向けた位置に座り、すぐ横に佐伯も座った。
佐伯は長にナリゲシの花について聞いてくれた。会話の内容は全く分からないが、なんとなく普段俺たちの使うような言葉もあるのでわかるかと思ったが、それが違う意味でつかわれている可能性を考えると結局何もわからない。円城寺殿に汽車出会っていなかったら俺自身でどうにかしなければならなかったのだからこれは運がよかったのだと思った。
「イヤイライケレ」
そういうと話が終わり、俺と佐伯は一礼をして長の家から出ることとなった。
「どうだった?俺には何と言っているかわからなかった」
「情報はありました。なんでもこの季節になると岩山の頂近くに咲くそうです。このあたりの人たちはナリゲシの花を見つけるとそのあと良いことが起こると信じているようですね」
「岩山ならどこでもいいのか?」
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