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「標高の高い岩山だと見つかりやすいそうです。まあでもかなり見つけるのは難しいそうです。小さいうえに色が白と青の縞模様をしていてよく探さないとわからないそうで、群生もしていないようです」
「そうか。それはありがたい情報だ。助かった。俺一人では聞き出すことはできなった」
「いえ、このくらいなら……。それより晩御飯にしましょう。鹿肉があるのですが食べますか?」
「それは食べたいな。是非食べさせて欲しい」
「わかりました。準備しましょう」
診療所に戻って住居部屋に戻ってくるとまだ円城寺殿は眠っていた。どれだけ疲れていたのであろうか。
しかし、この北の大地に足を踏み入れて二日で花の咲いている場所がわかるとは思っていなかった。これは大きな収穫だ。しかし、問題は岩山を登らなければならないことだ。登山自体は問題ないが、防寒には不安が残る。毛皮でできた羽織ものでもあればなんとかなりそうだが、どうやって手に入れるか。
背負子の中を確認するがそんな高級品を手に入れる金も商品も入っていない。
「まいったなこれは」
まあ、その辺りは何とかしよう。何とかするのも行商人の腕だ。
扉の隙間からいいにおいが漂ってくる。そうすると不思議と腹が減ってくる。シカの肉などあまり食べたことがないものだからどんな味かすっかり忘れてしまった。確かうまかった。
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